激ダサDANCEで凍らせて

ハロプロとテニミュとその他雑記。

新テニミュThe First Stage 東京凱旋公演

テニミュ東京凱旋公演に行ってきた。新テニミュThe First Stageを観劇するのは大阪公演含めて3回目。全体の感想は既に書いたので、凱旋で見え方変わったなってところだけメモ程度に書きます。

前回のはこれ。

gekidasadance.hatenablog.com

 

●歌が聴きやすい

席位置の関係とか初見と3回目の違いもあると思うが、日本青年館の音響はメルパルクホールに比べて聴きやすかった。メルパの音響は立体的で臨場感があったけど響きすぎて歌詞があんまり聞き取れない。それに対して青年館は臨場感に欠けるけど音質が綺麗で安定している。

人生初テニミュでメルパ3列目のスピーカー近くに座った時は三船の声がデカすぎてこの世界はもうおしまいだと思ったし氷帝コールも遥か彼方から聞こえてきたのだが、今回の青年館1階席センブロ後ろ寄りは音が響きすぎることもなく、歌の迫力に圧倒されっぱなしだった大阪での2公演の時よりも歌詞に注目できた。

テニミュはそんなに変な歌詞はないかなという印象があるが(少なくともラララゲイゲイゲイやドンドンドドンドンアーアーアアーアーみたいな様子のおかしさは見受けられない)、白石のオサムちゃんごめんねソングはやっぱり歌詞が妙にシリアスで笑ってしまう。

引っかかったのが、リョーマに対して「ほんとに態度がデカいね」って歌う徳川と試合中に「喜びのデカさ」って歌う手塚。徳川と手塚ってキャラ的に絶対「デカい」とか言わないはずで、でもそういう若者言葉の口語ってテニミュらしい要素でもあると思う。例えば《誰にも見えない糸》の「マジ半端ない2人の連携プレー」とか、え!?歌詞なのにマジ半端ないの!?っていう引っ掛かりがある。でもそこにキャラの中高生っぽい人間味を感じることもあって、徳川相当カチンときてるんだなとか、手塚相当テニスが愛おしいんだなっていうのが伝わってくる。私はその引っ掛かりが割と好きだ。

 

跡部vs入江戦

東京・大阪公演と東京凱旋公演最大の違いといえば、入江役が泰江さんから相葉さんに引き継がれたことだ。

私は華奢で捉えどころのない入江が好きなので個人的な好みとしては泰江さんに軍配が上がるのだが、相葉さんの迫力がある入江も素敵だったし歌唱力にも感動した。

大阪公演のS1は跡部を翻弄する入江とそれに立ち向かう跡部の心理戦という印象が強く、凱旋公演のS1は超強い人vs超強い人のガチバトルの印象が強かった。結局どっちも最高のS1だった。

大阪に比べて凱旋で圧が増していたのは、入江役の変更だけでなくて跡部役の高橋さんの進化の影響も大きいと思う。

高橋さんは大阪の時は動きが開放的でいいなーという感想が大きかったのだが、凱旋の高橋さんは声の張り方、伸ばし方もすごく堂々とした綺麗なものに仕上がっていたと思う。テニミュのオタクがよく言ってる「キャストの変化が楽しい」ってこういうことかーと納得した(前述したスピーカーとか音響の問題かとも思ったが他のオタクも高橋さん成長してるみたいな感想を書いてる人が多かったので錯覚ではないと思う)。

そしてやっぱり高橋さんの動き方は開放的で観ていて気持ち良かった。

3rdの三浦さんが演じた気品溢れるバレエダンサー跡部が大好きだったので、次の跡部もバレエダンサーじゃないと絶対に嫌だとまで思っていたのだが、高橋さんの演技を観たらむしろ入江と戦う跡部がバレエダンサーじゃなくて良かったと思えた。

地面に這いつくばりながらも格上の相手に果敢に挑む跡部様は多少優雅じゃなくても、泥臭いくらいでも良い。どこを切り取ってもバレエ的に美しかった三浦さんを見慣れていると、後ろ足を乱暴に蹴り上げて高く飛び跳ねる高橋さんの跡部が新鮮に感じる。

手塚やリョーマの前に立ちはだかる優美な跡部を三浦さんが演じてくれて良かったし、高みに上り詰めるまでの泥臭くも若々しい跡部を高橋さんが演じてくれて良かった。入江も跡部もみんな違ってみんな良い。

 

●鈴木惷くんの謎

今回出てるキャラクターで推しが誰って言われると微妙で、テニミュボーイズの方が演じているキャラを含めたら柳さんと日吉が推しなのだがキャラクター紹介ページに載っているキャラクターに絞ると赤也と徳川さんかなーとぼんやり思っていた。

しかし公演前ノーマークだったにもかかわらずすごく気になってしまったキャラがいる。高校選抜の鈴木惷くんである。大阪公演の時点で気になりはじめていたのだが、今回は惷くんがベンチにいるときも双眼鏡で覗き、精力的に惷くんのオタ活に勤しんだ。

1幕では仲間の活躍を見ながら頭の上で拍手したり、ゆるくて可愛いベンチワークを見せてくれたので休憩中に一緒に来ていた友人に「しゅんくんかわいいから観て!」とLINEを送ったのだが(時勢的に休憩中も私語厳禁)、「しゅんくんって何役の人?」と返ってきた。惷くん、存在すら認知されてませんでした。それもそのはず、惷くんは原作で殆ど出番が無いので、旧テニ古参おたくで新テニはさらっとしか読んでいない友人に認知されていなくても仕方ないのである。私も新ミュを観るまでは鈴木惷の名前を出されてもどんなプレイヤーなのか思い出せなかった。よく考えてみたら、惷くん役の高橋駿一さんが何を根拠にベンチワークをしているのかはかなり謎だ。原作での描写がないのに、どう役を解釈したのかはとても気になる。

鈴木・鷲尾ペアほど内面が掘り下げられていないキャラの試合がテニミュで演じられることは今までなかったんじゃないだろうか。しばらく前に原作で「今の要領でもう一度打ってごらん」しか喋っていない玉川よしおに人気声優が当てられたことが話題になったが、惷くんも原作では「お前ら中学生もやるたい!!」「お前ら良かテニスしとっと」しか喋っていない。これではキャラの作りようがないのである。強いて言えば、原作で千歳の神隠しを受けた時に「おっとと……」という心の声を発しているのでそこからテニミュのゆるいキャラがつくられたのかもしれない。

だが私は劇場で惷くんを観るたびに愛おしさが湧いてたまらなくなった。惷くんは原作通りほとんど喋らないしもちろんソロ曲や派手な見せ場もないが、ずっと眺めているとどんどん好きになってしまう。

普段の表情や仕草はゆるくて優しげだが、D1でのアクロバットやシンクロ時のダンスをさらりとこなす姿はかっこいいし(さっきの友達も終演後客電が付いた瞬間に「しゅんくんすごすぎて沸いた」とLINEしてくれた)、勝った後は勝者の余裕をたたえた鋭い目つきで九州二翼を見やりながらベンチに帰っていく。かと思えば補欠戦で3番コートが負けそうになった時にはダメだこりゃーといった感じで階段の上にびろーんと伸びてしまう。

でも、これが本当の鈴木惷なのかはよくわからないのである。原作の描写がほとんど無い以上、私が好きになったのは惷くんじゃなくて高橋さんの自由な解釈と高い身体能力が作り出した惷くんの虚像なのでは?という疑いは晴れない。原作で惷くんのオタクをしようにも、桃の缶詰が好き(すげえ可愛いファンブック情報)ということくらいしか燃料が無いのだ。

原作で今後活躍するようなキャラでもないし、この後のテニミュにも登場しないだろうし、惷くんへのラブは謎のまま終わるのだろうか。

原作でほとんど活躍が描かれなかった山吹のニトキタがテニミュ3rdシーズンで突如人気を集めた先例があるので、きっと惷くんも新テニミュが周回する数十年後くらいには日替わりやドリライでのお芝居が蓄積されてキャラの解像度が上がり、人気キャラになっていると期待している。

 

●観るたびにシュールギャグが面白くなる

 同じ公演を何回か観ているとだんだんリラックスして観劇できるようになってくるので、笑いどころが増える。初見だと日替わりなどのここで笑ってくださいねという箇所しか笑えなかったのだが、3回目になると真剣試合の最中の「桃城の手首を一撃で粉砕」、「187-187」みたいな滅茶苦茶な台詞が面白くてしょうがない。

一見ただのギャグマンガ、でも実は熱いスポーツ漫画、でもやっぱりシュールで面白い、でもかっこいい、という感情を無限に行き来しているうちにテニプリが無限に好きになるので、観劇のたびにテニプリっていいなというシンプルな結論に至る。

 

次のテニミュはたぶん不動峰公演。まだまともなテニスをしている時期だが、熱い試合が楽しみだ。