激ダサDANCEで凍らせて

ハロプロとテニミュとその他雑記。

新テニミュThe Second Stage

初日配信、TDC16日ソワレ、17日マチソワ、メルパ25、26日ソワレ、大楽配信で新テニミュ観てきました。関西在住なのにTSCを使っても大阪公演のチケが全く取れなかった。凱旋してくれ。

オープニング

私は山田さんの国光がとにかく好きで、TSC先行の時点では手塚の出番少なそうだし今回少し観るだけでいいかなーと申込をひよっていたので、中学生曲が手塚ソロではじまり手塚がセンターなのがとにかく嬉しい。普通身長低くて主役のリョーマがセンターなところを、手塚センターで両サイドにリョーマと金太郎というありがたい配置。出番が少ない手塚への忖度がはっきりわかりました。

イントロで中学生全員が手塚の元に集って、また舞台の四方にダッシュで散っていくフォーメーションチェンジを見ると曲中にダッシュでフォーメーション変えるのやっぱりテニミュスタイルだよなと思うと同時に、手塚は引力なんだよなと思った。ボールを引きつけるだけじゃなく、ただコートの上に立つだけで、誰もが手塚という存在を意識してしまう。それがテニプリで描写される手塚の引力であり、「強さ」だと思うので。

入江のソロ曲は曲調がミステリアスで、相葉さん、泰江さんそれぞれの表現力の深みを感じられて良かった。この後南次郎がいちいち登場して「漫画じゃねんだから……」って謎のぼやきを残して去っていくくらいなら入江を今回のストーリーテラーに据えても良かったんじゃないかな*1。でもよく聴いたら歌詞が「ヤバすぎる爆発もんだ」とかとんでもないことになっててて三ツ矢さん……貴方のワードセンスがヤバすぎる……大好きです……となった。

平等院先輩が明日シャッフルマッチするぞみたいなことを仰せになってる時に後ろで跡部&入江と金ちゃん&鬼がじゃれあっててちゃんと聞けしって思いました。高校生と中学生の絡みかわいいね。

 

ROUND1 越知・毛利vs跡部・仁王(手塚)

一番好きな試合。4曲もあって豪華。

仁王役の蔵田さんはインスタのコメント動画見た時声がハスキーだったのでどうなるのかなと少し心配だったが今回の死にかけの仁王の演技にハマっていて良かった。特に「俺は誰ぜよ」の台詞がすごく!よかった。この台詞は原作だと文法が崩壊していて、いやそんな方言存在しねーだろっていうネタ扱い台詞だが、ミュの演出が良すぎて「俺は誰ぜよ」で感極まった。跡部の台詞きっかけで入る我慢の歌(仮)のイントロがドラマチックで、そのイントロに印象的な台詞が重なるテニミュ様式美の完璧さたるや……*2

この試合はサーブのSEの遊びが面白くて、マッハはマッハだなって音するし仁王が手塚やリョーマにイリュージョンしてサーブする時はfirst stageの手塚やリョーマを彷彿とさせるモチーフを転用していて、前作を踏まえて観ると更に楽しい。

私は手塚くんのことを推しているおたくですが、仁王がイリュージョンしてる手塚を見てると何というか手塚が好き、ではなく山田さんが好き、という感情になるなぁと思った*3。特に我慢の歌の手塚は手塚の心情を歌った歌詞じゃなくて仁王が自分を鼓舞するために手塚を理解しようとした結果出てきた「幻想モラハラ手塚」だと思ったので。手塚は自分にも他人にも厳しいが「痛みがなんだ 俺は我慢した」と他人に我慢を強いる人ではないし、試合中の手塚は我慢しようとして耐えているのではなくてなまけるのが苦手(公式プロフィール)な手塚はそういう生き方しかできないのだと私は解釈している。

全国決勝で「所詮二番手のお前 勝てるわけがない 手塚国光は越えられない」と不二を煽っていた仁王が敗戦を経験し、手塚の技術のみならず精神性をリスペクトするようになる構成がスポーツ漫画として綺麗すぎるので「幻想モラハラ手塚」はナイス演出だと思った。手塚の退場シーンはテニミュ伝統芸のお立ち台水平移動だったので手を叩いて喜んだ。テニミュの世界では偉くて強い人は白い直方体に乗って水平移動で出ハケするって決まってるので。

跡部ソロ曲は高橋さんの1年前からの歌唱力の進化にとにかく感動した。個人的に三白眼の跡部が大好きなので(2ndシーズンのあおべみたいな)、高音を出す時に目をかっぴらいて三白眼になるたかべは泥くさくて必死な跡部の内面を感じてすごく推せる。

そして「俺は跡部だ 俺はキングだ」という歌詞がすごく良い。主要キャラで唯一肩書が無い手塚*4と並ぶものとして「跡部」という名前そのものに力があることを宣言し(手塚に二つ名が無いのは、手塚本人に安直な肩書を必要としない力があることを誰もが認知しているからである。立海に「手塚が7人いる」と言われていることからも、作中では「手塚」という名前自体が強さのスケールとして捉えられている)更にどんなに追い詰められていても「俺はキング」と言い放つ不遜さ。これが跡部ismです。

この歌詞が仁王の「俺は誰ぜよ」(=今の俺は手塚そのものであるという宣言)という台詞と呼応しているのもアツい。この試合のタイトルは「イリュージョン」だが、本質的にはイリュージョンという華やかなものではなく、「自分が何者かであるという矜持」がテーマとなっているのが原作にも増して伝わってきて、音楽、芝居、演出、どれを取っても大好きな試合になった。

跡部仁王のデュエットはシンクロした瞬間の2人のポーズの重なりと照明が神々しくて綺麗で、そこからの盛り上がりもまた最高。仁王ソロパートの「ザワついたか皆の衆」、絶妙に仁王が言わなさそうでその謎のズレが三ツ矢節だなぁと思ったが面白かった(前作での手塚は「喜びのデカさ」とか言わねぇだろ的なシュールな面白さ)。

仁王の歌唱力が手塚と跡部に追いついていないのが惜しいなと思ったが、それが逆に必死に試合の展開に食らいつこうと奮起する仁王の感情に重なってこれはこれでいいんじゃないかと個人的には思った。声のかすれ方も絶妙にキャラクターに合ってたと思う。グラミュだったら駄目だけどこれ2.5次元だし。

このDVD予約特典写真の下段左から2枚目の3人を見てほしいのですが、同じポーズを取ってるのに全くフォームが違う。絶対合わせる気が無い。仁王は腰をしっかり落としてるし、手塚は体硬そうだし、跡部は体操とかフィギュアとか審美系スポーツっぽい美しさがある。2.5次元ってみんな平等に歌やダンスが上手いことではなくて、いかにそのキャラクターらしい発声や仕草ができるかで魅力が増す不思議なものだと思っていて、そこが私の2.5次元沼の深みだ。

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欲を言えばこの3人で関氷の3人でダブルスみたいな曲聴きたかったなと思った。跡部と手塚のビブラートのぶつかり合いがあったらどんな感じだったんだろう。

試合外で感想を書くと、試合の展開に応じて高校生ベンチの平等院の感情が動いていくのが面白かった。平等院は「義」を大切にする甘い人間を絶対に許さないので、樺地跡部を庇った時、越知がその時のポイントを有効にしていいと言った時、越知・毛利が負けた時はこめかみをトントン叩いて苛つきをあらわにするが、跡部樺地の加勢を冷たくあしらった時にはトントンをやめて納得したように頷くなどベンチワークからもお頭の価値観が見えてくる。跡部平等院に認められ、高校生ベンチに迎え入れられたのは「義」を捨てて真剣勝負をしたからであるということを佐々木さんの丁寧な芝居から感じることができた。

ROUND2 デュークvs石田

2秒で終わった。生身の役者をホームランするわけにはいかないのでしょうがない。デュークホームランはネット上であまりにも有名なシーンだが流石に舞台では無理。

ROUND3 君島・遠野vs木手・丸井

この試合だけ浮いてるなと思った。今作の全体を通してのテーマはROUND1の平等院のベンチワークから考えても「義」だと思ったのですが、この試合だけそれとは正反対のことをしているのが面白くもあり、浮いてるなーとも感じた。

なぜテーマが「義」だと思ったのかと言うと、2時間半の舞台は原作やアニメよりVS GENIUS10編が1つのストーリーのまとまりとして捉えやすくなっていて、リョーマの乱入は樺地の乱入のリプライズとして意識させられるし(原作やアニメだとそれぞれの試合が途切れて見えるのでリプライズ感をあまり感じないがミュだと死にかけの大切な人を助けたいという衝動が繰り返されていることがわかりやすい)、越前兄弟の約束、徳川と鬼・入江の約束2つがオープニングからエンディングまで主題となるよう構成・演出されているからである。

そんな舞台の中でこの試合だけ倫理や信念がおしまいすぎる上に交渉?え?試合は?って感じなので「獣が、処刑とか言って暴れてる……」という無の感情になってしまう。篤京の歌唱力には圧倒された。獣なのに。

ワンダーキャッスルで中学生が並んで出てくるところは各キャラクターの個性が出ていて面白い。丸井を指す時にだいたいのキャラは手の甲を上に向けてかっこいい感じで指をさすのだけど跡部と幸村はお育ちが貴族なので手のひらを上に向けてエレガントに丸井を指し示すあたりとか。

個人的に今回の丸井は丸井に見えなかった。厳格な強者が集まる立海の8人のフォーメーションの中で1人だけガム食ってる異質さが丸井の天才らしさを際立たせているので(テニミュはその性質上、原作よりも舞台に8人揃っていることの持つ意味が大きい)、1人でいると彼の強さが上手く伝わってこないなと思ったし金ちゃんとベンチで戯れてると青学トリオっぽくてかわいーと思った。種ヶ島にドリンクを盗られるシーンや「俺を殴れ」を揶揄するシーン等、原作で真田に赤也が絡む台詞を丸井に言わせてるのも丸井がトリオっぽく(後輩っぽく)なってしまっている要因の一つだと思う。ここはボーイズに赤也を演じてもらった方が良いと思ったが、幸村と千石を引っ込めるわけにはいかないし樺地や銀はデカすぎるので無理だったんでしょうね。

ただ、真田が亜久津に蹴られるシーンで仁王が丸井の方に肘を乗せて寄りかかっているシーンの丸井は完全に丸井だと感じた。同じキャストが演じる丸井なのに、立海という集団の中に入った途端にギラついた本来の丸井に見えるのが面白い。

ROUND4 鬼vs遠山

2人が天衣無縫になった瞬間、最強光度の照明が会場を支配するのが良かった。配信で見るより劇場で浴びる方が断然良い。

天衣無縫の曲が曲調も歌詞も振付も大好き。「試合大好き 勝つのも大好き」という歌詞にテニプリのすべてが詰まっていると言っても過言ではない。

しかしながら天衣無縫の曲中で原作にない越前の話を持ち出す意図はよくわからなかった。目の前の対戦相手やテニスそのものに心から向き合うことでテニスの楽しさという感情が力になるというのが「天衣無縫」状態なので、ここで試合に無関係なリョーマのことを考えているのは不自然ではないだろうか。そもそも天衣無縫は誰かの模倣とかけ離れた場所にあるもので、誰もが自分の心の中に天衣無縫の素質を秘めてるって南次郎も言ってなかったっけ。前作で手塚が天衣無縫になった時も何故かずっと越前の話をしていたので、主人公であるリョーマが物語から疎外されている新テニの中でリョーマの周囲の人物はリョーマを強烈に意識しているという事をどうしても歌わせたかったのかもしれない。

 

曲中に中学生ベンチが大盛り上がりする中で幸村がパワーリストを握りしめて俯いていて、仁王が肩をぽんぽんして何か話しかけてるシーンはキャラクターが生きているリアルさを感じられたものの、原作での幸村の発言「あのボウヤ、いい顔してるね」を君島に言わせたのは不可解だった。この台詞が無いことによってリョーマの天衣無縫にイップスを破られたことを幸村が未だに引きずっているように見えるので、ラスボスとしての幸村の格が下がっているように感じる。ここでの幸村のベンチワークは前作の手塚vs大和で大和が青学の全国優勝を祝う台詞を言った時に赤也が俯いてパワーリストを握りしめていたのと似ているが、赤也の握りしめは今後の勝利や明るい未来を希求しての芝居に見えたので今作の幸村もそうであってほしかった。

全体的によくわからない改変が多かったとは感じたが、今作屈指の楽しいシーンだったのは確か。

ROUND4の最中の色々

・鬼vs平等院の回想

1幕のラスト。「平等院鳳凰だ」って名乗りがいまだに笑えるのすごいと思う。こんなすごい名前ない。歌唱力のある2人の声量の殴り合いは最高だった。劇場でこれを聴けたのが幸せ。

鬼の曲のイントロが和風な雰囲気ではなく荘厳な弦楽器ではじまったのが鬼の従来のイメージと離れており、それがかえって鬼の覚醒を効果的に表現していて感動した。

・2幕最初のキミ様タイム

照明がカラフルで綺麗。ドリライみたい!ペンライト振りたい!キラキラしてて楽しかったです。地声では出ない音域があるが、段々裏声が自然に出るようになっていてよかった。あと衣装の雑さがTHEテニミュで非常に良かった。

・越前兄弟と亜久津の絡み

リョーガのダンスが上手い。ムーンウォークを軽々とこなすあたりとか特に。難しいことを簡単そうにやってしまうのがリョーガらしくて、ダンスにもキャラクターの内面が出てるなと思いました。

ROUND5 種ヶ島・大曲vs真田・亜久津

種ヶ島先輩にこんなにどハマりするとは思わなかった。種ヶ島のジャージの着こなしは舞妓をイメージしていることが許斐先生の7年前のツイートで確認できるが、今回のミュージカル化でその狙いがようやくテニプリファンに伝わったと思う。今までの明るいキャラソンのイメージとはかけ離れた底知れぬ恐ろしさと妖艶さを持つ彼のソロ曲はあのだらりとした衣装があってのもの。

ソロ曲や「いただき」で突然ラケット持って返球する時にピタッとラケット止めるのがとにかく見ていて気持ちがいい。OVAではここの返球で「いただきィ~」と飄々とした声を出すのに対して、ミュージカル版では鋭い声の「いただき」で場の空気を一変させ、その一声で劇場の時が一瞬止まって完全な静寂に包まれる演出が震える程良い。

映像で見ている限り、過去のキャストには役者がキャラクターを演じているのではなくキャラクターが役者に憑依して恍惚と歌い踊っている人たちがいて(増田さんの幸村とか前田さんの赤也とか)、いつか生で"憑依"を観たいと思っていたが今がその時だった。キャラクターに憑依された人は普通の役者と全く違う次元で劇場を支配することができるのだと思った。歌声だけではなくて、伴奏やラリービートが音響設備からではなく種ヶ島の身体から直接響いているように聴こえる時が何回もあった。それは秋沢さんの演技力とダンスや歌のスキルが卓越しているからこそ実現する、息を呑むような瞬間だと思う。

初日や収録日に緊張や疲労からパフォーマンスがひっくりかえってしまうキャストがちらほらいる中で秋沢さんの安定感は抜群によかった。試合中もベンチにいる時も、種ヶ島として気を抜いている瞬間が一切なく、歌やダンスで音程やリズムを外すこともなく、それでいて目まぐるしく変化する表情の豊かさは何度見ても飽きさせない深みがある*5

正直、今試合の真田も初日配信では自分は威厳ありますって曲歌っておいて威厳足りてなくないか?と思ったが大楽にかけて成長を感じた。真田らしい重低音の発声には難が残り、隣に立つ機会が多い亜久津やテニボの幸村との体格差も気になったが、公演を重ねるにつれて真田特有の重く力強い身体の使い方に近づいていた。特に「火」の回転しながら跳ぶモーションから腰を落として「雷」を打つ動きへの切り替えには皇帝らしい強さと存在感があり、周囲との体格差というハンデを立ち振る舞いによって見事に克服していると思った。

この試合は種ヶ島関連の演出が素晴らしくてどうしてもそればかり印象に残るが、亜久津と千石の回想シーンの演出も巧みだった。原作ではテニスに未練を残し、一人迷いを抱えたまま道を歩く亜久津のシーンには雲に覆われた夕日のコマが挿入され、その後亜久津が千石に持ち掛けられた運試しに成功してテニスを続けると決断した際には「今夜は月が綺麗だなぁ」という千石の台詞と共に雲が全く掛からない満月が描かれる。だが今回の舞台では空模様は全く投影されない。私はこれこそがテニミュだと感じた。空模様で人物の心理を暗示するのは漫画の仕事であって舞台の仕事ではないと思うからだ。そして、この回想部で最も重要なのは「今夜は月が綺麗だなぁ」=「亜久津はテニスが好きなんだなぁ」という千石の言葉なのでそこに焦点が当たっていたのが良かった。

これが4thシーズンの演出だったらきっと原作に忠実に舞台に空模様が投影されていたと思う*6。しかし、たとえ背景が真っ暗でも亜久津を演じる役者がその迷いと葛藤を叫びに込めること、千石を演じる役者が「月が綺麗」に月が綺麗という以上の意味を含ませた芝居をすることの価値が舞台装置の効果を遥かに上回っている点がテニミュにしかない魅力だと私は思う。

ROUND6 平等院vs徳川

平等院が高校生8人の海賊を従えてるところ強すぎて良すぎる。あの有名なギャグシーンをここまで壮大なミュージカルとして昇華できるとは。高校生組の「大海原には〜荒れるコートがある」の重厚な歌声が会場いっぱいに響いてかっこよかった……

ここでも種ヶ島先輩が両手に剣を持って踊るシーンが綺麗でずっと見てしまった。

平等院は原作にはない品格があって、原作の荒々しい威厳とは違う高貴な威厳も感じる。その品格が高校生を従える曲で真価を発揮したと思う。高校生全員の声の堂々とした厚みと平等院ソロの鋭さが格調高く美しく、原作と全く違うことをしていても違和感が無かったので。平等院役の佐々木さんはTSC会報にも「品」を大切にしていると書いていて、まさにその通りの平等院だと思った。

阿修羅の神道の曲は入江→鬼→徳川とソロが続く、非常にミュージカルらしく綺麗な旋律の良曲。徳川が最初の2人に合わせた音程で歌いトリを務めなくてはならないのでいつか「阿↑修羅」にならないかなと思って聴いていたがなりませんでした(最悪な期待)。それどころか初日から大楽にかけて徐々に先輩2人に歌唱力が追いついてきていて感動した。「テ↑」の頃に比べたら無理なく高音が響くようになった印象だった。前回の事実上の主役が跡部だったように今回は徳川が事実上の主役だが、正直徳川って歌もダンスも上手い必要ないしむしろ鬼や入江に彼の心情を代弁させてしまった方が徳川のストイックで義理堅く真面目すぎる内面が見えるのではないかと思った*7

阿修羅の神道について全くなんにも説明が無いのに鬼とばち江のビブラートで「徳川はいま、阿修羅の神道に入りました」という意味不明な事実をごり押しで理解らされてしまったの意味不明だったし、そういえば私達はついこの前もテニスの試合中に空から人間がいっぱい降ってくる怪奇現象を柳生のクソデカビブラートで有耶無耶にされ、思考を放棄させられたことがあった。

今作はテニミュ史上はじめて団体戦以外(個人戦の6連続)を扱った作品なのでチームの結束感が与えるテニミュらしさや物語の起承転結に欠ける面があるが、それを補うため平等院、徳川、鬼、入江の関係性と回想を丁寧に描写していたのがとても良かった。

エンディング

2時間ぶりに山みつくんに会えて嬉しい。今までのテニミュで正規キャストがこんなに長時間引っ込んでることありましたか?散々焦らされた後に山みつ十八番のバラード曲とキレの良いダンスとサービスナンバーの笑顔が一気に供給されるので脳が壊れた。

手塚のバラードソロは今作において手塚を演じる仁王でも仁王の脳内イメージでも手塚を演じる山田さんでもなく、手塚そのものがドイツにいても日本にいても変わらない本人の心情を歌う貴重なシーンなので心が震える。時空が歪んでいるとはいえ、手塚の実存を感じた。

ディスタンスがすごーく楽しかった。実は私はFirst stageの時にこの曲にブチ切れていて、ただでさえ現実の世界が暗いのにエンタメの世界でも疫病の話して現実思い出させようとしてくるんですか?いつ疫病で舞台が中止になるか日々怯えて生きてるのに??と思っていた。というか、毎公演毎公演一幕終わりに三船の消毒新喜劇見せられるのが本当に無理すぎたせい。無理。テニスの王子様の世界に疫病は無い。

でも今回は三船新喜劇も無かったし、何よりコーチ陣が「感染対策に協力してくれてありがとう」と言ってくれたのが大きく、素直にディスタンス良い曲だなと思えた。疫病を時事ネタっぽく茶化して扱う姿勢と、皆が感染対策に協力してくれたからテニミュがあるんだよという姿勢ではこの曲の聞こえ方が180°変わると思ったので。

大楽では山田さんがとびっきりの優しい笑顔で高橋さんと蔵田さんを思いっきり抱きしめていて、とっても幸せな気持ちになりました。歴代の手塚はサービスナンバーで笑うときも威厳のある微笑みに留めたり、そもそも宇野さんのようにオーデで責任感が強くしっかりした手塚のような内面が滲み出ている人を初めから選んだんだろうなというキャストも多かったので、山田さんのように本編と挨拶以降の振る舞いがガラッと変わる手塚は珍しいなと思う。こういうギャップが本当に好き。

2月25日ソワレで手塚の日替わり決め台詞が聞けたのも大切な思い出。

あとメルパにはTDCと違い緞帳がちゃんとあったので、緞帳が下がるのと同時に寝っ転がって必死でお手ふりしてくれるキャストがみれてよかった。

キャスト陣が楽しそうに怪我無く舞台に立って、そして寝っ転がってくれるのが何よりの幸せです。

本編と関係ありませんが大楽配信種ヶ島の「寂しい気持ちが無くなるおまじないかけたるわ!nothing...(囁き)」と手塚の「また会う日まで!ばいばい(小声)」で気絶しました。

寂しいけど新テニミュライブまで頑張って生きます。

今回も幸せな時間をありがとう~!!!

*1:南次郎がメタ台詞連呼する演出意図ってなんだったんだろう。色々考えたけどよくわかりません

*2:4峰で唐突な曲入りを聴いた後のこの感動的なイントロ入りのタイミングを聴くと泣いてしまう。この他にも種ヶ島ソロとかブラックホールの曲とか、今回は毎回イントロきっかけのタイミングが絶妙。そうだよね、これがテニミュだよね。

*3:中学生曲やラストのバラードの手塚を見てる時はくにみつくんが好き!って思ってて、試合中やサービスナンバーのケロケロ手塚やにこにこ手塚を見てる時は健登くんの手塚がすき!って思ってる

*4:テニプリの主要キャラはだいたい王子様、キング、神の子、皇帝、殺し屋、聖書等仰々しい二つ名が付いているが手塚にはそれがなく、技名も「手塚ゾーン」「手塚ファントム」等本人の名前を冠したものが多い

*5:なぜかROUND6で海賊として登場した時はたまたま私が観劇した回の2回に1回は剣を床に落としてた。でもサッと拾い上げてリカバリーする仕草すらかっこいい

*6:不動峰の不遇をわざわざ曇り空で表現してたくらいなので

*7:突っ立ってる時が一番リアルな徳川に見える小野さんはある意味2.5次元の神に選ばれたのかもしれない