激ダサDANCEで凍らせて

ハロプロとテニミュとその他雑記。

氷帝vs立海 Game of Future

オタクの皆さんは公開前に氷立のオーダーを妄想してたと思います。

私が予想してたのは、以下の3点。

①ラスボス校立海とラスボス幸村の格を落とさないために、S2に来るであろう跡部vs幸村は幸村が勝つし最終的に勝つのは立海

②関氷、全氷、同士討ちと3回連続で負け試合が描かれた向日と日吉はこれ以上格を落とさないために今回は流石に勝つ

③S1は次期部長の日吉vs赤也

 

どう考えてもこの3点が矛盾するのでずっと頭を抱えていた。S2で日吉が赤也に勝って、S1で幸村が赤也に「これが最後の指導だよ」みたいなことを言って跡部を倒す展開もちょっと想像してた。

 

若くんは見事に負けた。

 

だが、これだけ連敗してもちゃんとキャラとしての魅力と「格」を保っている日吉の描かれ方に制作の方の愛を感じたし、日吉のことがますます好きになった。

 

テニプリという膨大なキャラクターと長い歴史を抱える作品はキャラの「格」がすごく大切にされている。日本の中学生では主人公であり王子様であるリョーマの強さが絶対的で、そのリョーマに高架下のコートで勝った手塚も最強格、それに続くのがラスボスである神の子幸村、その一歩後にキングの跡部と皇帝の真田が続いて、ここまでの5人が互いに対戦する試合は絶対ギャグにならないという神聖なラインが存在している(肩書きも神聖な感じがする)。

f:id:gekidasadance:20210423214802j:image

これまでの勝敗を非公式戦含めて表にしてみると、今回幸村が跡部に勝ったのはなるべくしてなった結末であり、5人のパワーバランスがうまく保たれていることがわかる(跡部vs真田の試合は幸村の手によって強制終了されたので勝敗不明)。

全員が「俺が間違いなく世界で一番強い」みたいなプライドの高さを見せつけてくるので一敗でもしたらキャラがぶれそうなところだが、テニプリでは彼らの勝敗を逆に利用して、全員に「あの〇〇を倒した強キャラ」という設定が付与されている。

今回の跡部vs幸村の試合結果は「あの幸村をタイブレークにまで追い詰めた跡部はすごい」、「あの跡部に勝った幸村はすごい」という印象が強く残ったので、流石この二人の試合はどう転んでもアツいと思った。

 

勝つことでキャラ設定が強化される5人とは対照的に、205号室の2年生4人(赤也、日吉、海堂、財前)は負ければ負けるほど可能性の塊としてのキャラ設定が強化される気がする。今回日吉が作中で4連敗しても、つらいのはもちろんつらかったけど、そこまでの驚きもなく受け入れてしまった。

 

私は今まで日吉を二推しとして応援してきたが*1、彼の演舞テニスについては正直なにが凄いのか全然わかっていなかった。セッカチコンビはテニスに他競技持ち込んで体力浪費して負けてて意味わからんけど可愛い!!って思ってた。

でも今回の氷立で、向日が試合中に高く跳ぶ意味も日吉がテニスに武道を取り入れる意味も具体的にわかり、納得がいった。

 

日吉の演舞テニスが相手の攻撃を受け流すためのものでもあることが描写できたのは対戦相手が赤也だったからこそだと思うし、赤也の攻撃を軽くいなす若くんは強くてかっこいいと思った。

日吉と赤也は本来青学という主人公サイドに対しての悪役であったはずなのに、赤也に対し渾身の新技をぶつける日吉も、それを返そうと悔しがりながら必死で向き合う赤也も、この瞬間確かに主人公で、テニプリの最高なところはキャラ一人一人に主人公らしい可能性と光を与えているところなのだと改めて感じた。

 

新技の四神演舞は未完成だったけど、四神のうちまだ白虎しか出てないのも彼の未来を感じさせるし、日吉は負ければ負けるほど無限の可能性を見せてくれる。

全国大会初戦で当たった椿川の三浦(誰?)に6-0で勝った試合が一切描写されず、リョーマに負け、乾と海堂に負け、跡部に負け、赤也に負ける試合はしっかり描写されてしまっても日吉よわっ…ってならないのが日吉の凄さである。

日吉が負けるたびに日吉の下剋上が楽しみになるし、ずっと応援していたいと思える。

 

先日発売された氷帝ファンブックで、リョーマに負けた日吉の涙の理由はただ自分のせいで氷帝の敗退が決まったという自責だけではなく、1年生をナメて試合に挑んだ自分に対する情けなさに顔をあげることができなかったことにあるということが許斐先生によって明言され(p.109)、日吉へのラブがめちゃくちゃ高まった。

 

氷帝vs立海で赤也に負けた後、跡部の励ましもあって涙を堪えた日吉は、世界大会選抜メンバーである赤也という格上に対し果敢に挑んだ日吉であって、氷帝の新部長としての責任を持って戦った日吉であって、関氷で年下のリョーマに舐めてかかって負けたり全氷で忍足の試合を小馬鹿にして負けたりした日吉ではないのである。テニプリという作品は敗北に意味を持たせる描写がとにかく上手い。

 

後編の話ばっかりしたけど、前編もすごく良かった。

D2は、どーせ玉川の中身は仁王なんやろ?という思い込みを持って観戦してたのでブン太と玉川がシリアスなやりとり始めたあたりでアレ?ってなってどんどん良い話になってきたので全然イリュージョンした仁王じゃないじゃんガチの先輩後輩の絆じゃんって気づいて泣いた。思い込みって怖い。

氷帝サイドの物語も感動的で、忍足と岳人の回想シーンで「誰にも見えない糸来るぞ!ここから糸流れる!」って思ったら全然誰にも見えない糸流れてこなくて泣いた。そういえばこれテニミュじゃない。

最後に忍足が腕をクロスして岳人を高く跳ばせるシーンは忍足のポーズが意味不明すぎて吐くほど笑った。

 

D1とS3は宍戸と鳳の絆がアツくて良かった。忍足向日ペアや真田柳ペアが3年間の集大成を出す試合という感じだったので、余計にペアを解消してもなお強い絆で結ばれてる2人の悲しさと強さみたいなものが際立った。

 

全体通してこれが見たかった!という試合もあり、予想外な試合もあり、ずっとワクワクしながら観ていた。

作画も綺麗だったし(特にS2の幸村と跡部はまつ毛の一本一本まで綺麗で何回も一時停止した)、試合を盛り上げる音楽の使い方も上手かったし、5試合あるのに緊迫感が途切れず展開に中だるみが無いし、最初から最後まで名試合で名作。

 

 日吉は下剋上を目指すキャラ設定が強くなりすぎて、こうして敗北を重ねる程に日吉の初勝利への期待値が上がってしまい、生半可な相手に勝たせるわけにもいかなくなったので今後の展開で日吉の勝利を見るのは簡単じゃないかもしれない。

それでも日吉の向上心や簡単には弱みを見せないプライドの高さが好きだ。

負けるたびに涙を流しそうになるという意外に冷静沈着でも常に前向きでもない一面があるところも好きだ*2

 

氷帝vs立海 Game of Future、若くんの魅力と可能性が溢れて爆発してました。観れてよかった。

これからも若くんの下剋上をずっと応援したい。

*1:最推しの柳さんは今回真田の黒色のオーラに隠れて試合をする意味不戦法で勝利を収めていて笑った。当たり前にオーラが目視できる世界観、なんなん

*2:テニプリのキャラって中学生なのに全体的に負けた時の態度があっさりしすぎてて怖い。自分のせいでチームの敗退決まったら普通青ざめて泣くでしょ