激ダサDANCEで凍らせて

ハロプロとテニミュとその他雑記。

テニミュ4thルド吹

ルド吹、東京公演と大阪公演を終えたので、後半の福岡公演と凱旋公演に入る前に感想を書き留めておきたいと思います。

明日からもう福岡公演ですが…

 

【全体的な感想】

全体に言えることとしては、不動峰公演でほとんど感じられなかったテニミュ独自の熱さがきちんと演出されていたので好印象だった。

前回の問題点だった曲と状況が噛み合っていない、セットが活かしきれていないという問題も大分改善されていて良かったと思う。

今回ちゃんと曲と状況が噛み合ってると感じたのは、曲入りが自然になったこと(青学メンバーの台詞の途中でだんだんイントロの音量が上がることで底知れぬ強さが演出されるルドルフ校歌、不二が反撃に転じた瞬間にイントロが鳴りだす不二ソロ曲等曲入りのバリエーションが豊か)、作詞が従来のテニミュ特有の視点に近づいたこと(俺、お前、テニスの三語で全てが収まってしまう主観的な脳筋歌詞)が大きい。

前回はオープニング曲や全体曲は個人的に好きだったものの試合中の曲が微妙な出来で、誰が誰に向けて伝えたいのかよくわからない歌詞を突然歌いはじめてたのでミュージカルじゃなくて挿入歌付きのストプレだなぁと思う場面が多々あった。

しかし今作は「今」この「状況」で「俺」が「お前」に向けて熱い感情を伝えますという気概が伝わってきたのでTHIS IS THEミュージカルテニスの王子様だ!と思いました。特にダブルス曲が良くなった印象。

 

【キャストのこととか】

キャストではやっぱり推しの山みつと三井さんの観月が良かった。まず舞台の感想とか抜きにしてお顔とお声が好きすぎるし全体的なスキルも高い。

ただ、手塚に関しては手塚をここで使ってほしくなかったってことがいっぱいある。くにみつくんが好きだからこそ、手塚の出番や見せ場を増やしてほしい気持ちより手塚という寡黙で誰よりも強いキャラクターを乱用してほしくない気持ちの方が強かった。

手塚は口数が少ないからこそ一言に重みがあって、3rdまでの手塚曲ってほぼ「油断せずに行こう」と「お前は青学の柱になれ」しか言ってない。手塚ってその二言だけでいいんだ。それが手塚部長の背中なんだ。

なのに4thは手塚に不動峰公演で無駄に感傷的な《WILL》歌わせたりルド吹公演で手塚初の公式戦やって周囲の人間にハッピーな曲歌わせたり余計なことするから「黙々と越前に青学の柱になれと説き続ける→跡部戦で誰も知らない真の姿を見せる」という手塚の存在の重みを描く軌跡が全部おしまいなんだ……

テニスの王子様の物語の起承転結って、正直承と転はよくわかんないけど*1「起」がリョーマが高架下で手塚に負けて父親以外の強者の存在を知ること、「結」がリョーマが青学の柱として幸村を倒し、青学を全国優勝に導く王子様になることだ。つまりテニプリの起承転結は柱承転柱と言っていいくらい柱ではじまり柱で終わるので(そして新テニでは手塚とリョーマが柱の役割を終えて海外へ飛び出すところから物語が展開しますね)柱ソングがないテニミュなんてあってはならないと思う。

今回はルドダブルス戦に乱入する手塚を見て、手塚の心情を描くために必要だから歌わせるのではなくて歌がうまいキャストがいるからファンサとして歌わせておくという意図が感じられ、ミュージカルとしての手段と目的が逆転してるなと思ったので残念だった。

肝心の山みつさんの歌唱力は言わずもがな。名実ともに声楽の柱でした。声の響きに部長としての威厳が感じられて大好きです。

歌だけでなく台詞も声の響きが綺麗で、おい!集合!整列!だけでかっこいい。これ台詞っていうか号令だね!全然喋ってないね!でもかっこよかったです。

もう一人目が離せなかったキャストが観月役の三井さん。視線の使い方や声の抑揚がとにかく上手いし綺麗。特にルド校歌では歌声、ダンス共に圧倒的表現力を見せつけられて一気に好きになった。曲終盤で部長赤澤とマネ観月が背中合わせでセンターに立つところは2人の体格差に完璧な2.5次元〜!って思いました。

あとお芝居が好みだったのは檀くん。天真爛漫な姿から亜久津に背中を見て自らコートに立つ決意をする必死な姿への変貌がすごい。越前屋くんの調査をする檀くんとリョーマの掛け合いは毎公演微妙に違っててアドリブに近いんだけど、そこが毎回自然で生き生きしてて2人ともプロだなと思う。

 

【1幕感想】

くにみつくんのおたくとしては幕開き即高架下は嬉しい。不動峰公演が手塚の答辞で始まり高架下で終わって、ルド吹公演が高架下で始まり手塚の氷帝は強いぞ台詞で終わっているので、手塚で始めて手塚で締めるの何かのこだわり?って感じだけどそれなら手塚に歌わせてほしい。

青学って二本柱なので(全国立海の台詞より)手塚とリョーマにはちゃんと青学の柱としての自覚を持つ歌をあげてほしいのに、1幕に柱系の曲がまったく無く、ひったくりの歌とゴリラの歌はあるのに手塚とリョーマは試合中歌わないんだ!?って初見時に度肝抜かれた。テニミュって試合中の歌唱を通して王子様たちの生き様を客席に届けるもんじゃないの?ひったくりの歌とゴリラの歌、いる!?

あと度肝抜かれたのが、都大会始まる前の段階でリョーマが千石と菊丸をボールで狙撃してたこと。原作だとリョーマが打ったゴム紐付きの練習用ボールをひょいひょい避ける千石や後輩にボールぶつけられてる菊丸のコミカルさが描かれるシーンなんだけど、舞台上でやると一気にコミカルさが消えて亜久津レベルに悪質な主人公が人にボールぶつけまくる狂気のシーンになってて本当にもうちょっと考えてほしかった。

都大会スタートの曲は24/365のアレンジになってて、過去シーズンの曲使ってくださいって不動峰の公演アンケに書きまくった私はとっても嬉しかったです。テニスで勝つこと以外なーんにも視界に入ってない少年たちの生き様がテニプリの一番最高で一番美しいポイントなんだってこの曲聴くたび再認識します。青学はもちろん、お紅茶飲んで余裕の笑みを湛えてるルドの皆(というか主に観月さん)もテニスを楽しんでる山吹の皆も、心の奥底には勝つためだけに生きる激情を秘めてるのが伝わってくる良い曲。

ルドルフ校歌〜ルドルフ戦はお耽美な曲もあり暑苦しい曲もありバラエティに富んでいて何回観ても飽きない。

ルド校歌間奏明けの「我らは選ばれた」からルドダブルス4人で歌う曲の淳ソロ「優劣のある世界に生まれて」は繋がってると思った。テニプリの青学メンバーや中盤以降に出てくる強いキャラクターってテニスの神様に選ばれたかのごとく才能に恵まれた少年ばかりで(新テニミュの"Heaven sent me テニスの子"って歌詞がモロにそう)、そんな中ルドのメンバーって神様に選ばれたんじゃなくてもっと人為的に、スカウトされてルドルフに来たメンバーなわけです。

淳にしろ裕太にしろ兄のような才能には恵まれず、まさに優劣のある世界に生まれたけどその残酷な世界で必死にプライドを持って戦っているのがルドルフの本質なんじゃないかと今回の公演を観て思いを馳せました。ミッションスクールらしく宗教色の強い校歌でありながらも、実際の彼らは天才ではなくエリートで、あくまで人に選ばれたという点にルドルフメンバーの人間味が感じられて好き。

ルドルフ戦は1幕しか使えないということもあり3rdに比べるとかなり短縮されていたが、それでも勝つために観月の非道とも言えるシナリオに従っていた部員たちが徐々に観月の支配から離れていって、最後にはルドルフのことを何よりも真剣に思っていた観月の元へ心が帰ってくるという流れはきちんと踏まえた脚本だったと思う。

観月ソロ曲で観月に操られ不二と一緒に踊る部員が野村、淳、柳沢で踊らない部員が赤澤、金田、裕太なのは前者の3人が観月のシナリオに従っていたのに対して後者の3人が生え抜き組とリョーマの左目を狙うことを拒絶した裕太という観月の意志を離れたキャラクターであり、観月が操るマリオネットの糸が切れたことの隠喩だと感じた。

それでも最終的に不二に負けてヒスる観月の元へ部員が集結してコンソレーションでの挽回を目指すのは、やはり観月様の人望なのです(?)

試合後の観月中心の日替わりは本当に毎回毎回楽しみだった。行こうぜ!全国✝️

でもここの日替わりと1幕ラストの《We are the best team》の意味不明演出のせいで一敗だって許されるものか!!勝てなきゃ意味がないんだよ!!のルドルフの悲劇性が薄まってるなとも思った。

3rdではルドルフの敗戦で幕が閉じることもあり、なんとしてでも全国へ行きたかったルドルフの悲願みたいなものが感じられたのに対して4thではルドルフがおもしろ集団寄りになってて(肝心の試合はシリアスだったけど結局人間の頭に残るのって終わりなので)、それはそれで可愛くて好きなんだけど日替わりが面白すぎるのも問題だろと思った。でも面白すぎるからやめないでほしい。

が、《We are the best team》に乱入する亜久津は本気でやめてほしい。

この曲は不動峰公演の時から好きで、メロディも歌詞も試合終わりの夕焼けが目に浮かぶようですごく綺麗な曲なので、ルドルフの夏がここで終わってしまったとしても、プライドがぼろぼろになってしまったとしても、この都大会の熱戦をこの曲に乗せてずっと忘れないでいてほしいって思うんです。それで序盤は、あー、青学もルドも本当にベストチームだよ!いい試合だった!!って思ってたのに中盤で突然亜久津が銀華の部室を荒らしに来てこの感動的なメロディーに乗せて暴力をお見舞いしてくるので(この時点で青学とルドはまだ涙目で試合後の余韻を歌ってます)何回観ても演出家がサイコパスなのか時空が歪んでるのかどっちなんだいって感想しか浮かばなくて虚無感情のまま1幕が終わる。

全体的にルド吹1幕は千石と菊丸を狙撃する主人公、ひったくり、ゴリラのおっさん、感動的な曲の最中に銀華に乗り込む亜久津と、不必要な犯罪と暴力が多すぎる。犯罪をやめてください。

 

【2幕感想】

1幕ラストの亜久津乱入謎曲が終わって2幕開始。開始早々亜久津が青学に襲撃してきて部員が血まみれに。また犯罪???

怖いのが目の前に亜久津に石やボールぶつけられて怪我してる後輩とジュースぶっかけられてびっちょびちょの同期がいるのをガン無視して「おい!いつまで話しているつもりだ!まずはランニング!」って命じるモラハラ部長の手塚国光。周りを見ろ。

今のところ亜久津より主人公と青学部長の方が理不尽かつ狂人です。

その後タクシーが事故ったり(警察案件が多すぎる舞台)色々するものの山吹校歌がとにかく楽しくて癒される。

個人的には今までテニミュを一階席でしか観たことがなく、今回の青年館公演では最前に入れたりもしたが大阪公演の楽日に二階席に入る機会があり、ここで山吹校歌の真の楽しさを知ってしまった。

山吹校歌はラケットを他のメンバーに投げて両手が空いたところでアクロバットをする振り付けが盛り込まれており(これは他校の応援対決でも見れます)、最前で観るより二階席前方の斜め上視点から見ると100倍迫力があって楽しい。*2

前シーズンまではほぼ無かったラケットを投げる振付、安全面などに賛否両論あるが個人的にはすごーくかっこよくて好き。ルド校歌の観月や応援合戦曲の赤澤部長は袖から飛んできたラケットをスマートにスッとキャッチするのに対して応援合戦の檀君は両手でばしんって挟んでキャッチするのが妙に鈍臭くて可愛い。

山吹曲は校歌に限らずD2〜S3まで楽しい曲が多い。

原作では全く描写がなかった不二河村vsニトキタのD2だが、試合開始の握手と同時に曲が始まって曲終わりと同時に決着が付く。

原作で何が起こったかよくわからない試合を「よくわからない曲」でコンパクトに表現するのはキャラクターの魅力を出しつつ他の大切な試合の邪魔もせず上手いと思った。ニトキタの奇行が要注目なのはもちろん、え、何事ですか…という表情からいつのまにかニコニコして相手のペースに呑まれてしまってあっさり負ける不二先輩の可愛さも見どころ。観月戦で見せたあの底知れぬ強さは見る影もなく、ただただ可愛いだけ。酢飯持ってふにゃふにゃ笑いながら踊ってる不二先輩超キュートだけど何が起こってるのかわからない。

ゴールデンペアのD1は1幕で菊丸がピンチになっているのに対して今度は大石がピンチに陥る対照的な構図だったので、ルドルフ公演と山吹公演がセットになっていることで自然とペアの絆が両側面から見れる様になっていて良かった。

地味'sは地味なのに素朴で明るい曲調が山吹らしくて良かった。

桃城vs千石のS3は公演全体を通しても1,2を争うくらい盛り上がるシーン。散々オタクに邪魔だ退けろって言われていた巨大壁セットが真価を発揮する時です。

千石ソロ曲で観戦してるみんなが壁の窓越しに踊り狂うシーン狂おしいほど楽しいし、踊り狂うみんなの間から壁で隠れたトランポリンでジャンプしてイェーイ!ってドセンに飛び出てくる清純くんは世界一のアイドル。

桃城がピンチになった時の24/365リプライズはすごく盛り上がるんだけど、不動峰公演でも何故か《ウィニングショット》のリプライズがS3で出てきたので既視感。2公演連続でS3で大会開始曲のリプライズをやる意味とは…?

このリプライズってすごく盛り上がるから折角ならリョーマのS2でやってほしい感がある。

S2も不動峰からの共通点があって、対戦相手(伊武、亜久津)の曲で一旦暗くしてからリョーマ曲で爽快感を演出するのがこれまた既視感。演出家の趣味が出てるなーと思いました。

S2は亜久津、リョーマ共に動きがダイナミックで観ていて爽快。亜久津幼少期の回想シーンはジメジメしているが赤澤の良き後輩である金田がここで怪童亜久津役としてテニミュボーイズ的立ち位置で出てくるのがびっくりで、演じ分けが圧巻だった。あの投げやりな動き方が才能を持て余して暴れてる幼少期の亜久津そのもので。

手塚のオタクとしては「お前は青学の柱になれ」の録音台詞が流れるところで電車の効果音が付いてくるのがやや不満だった。ミュージカルにおいて特定のシーンを観客に想起させる役割を果たすのって、効果音じゃなくて歌なんじゃないの?って思ってしまうしもう理由とかなんでもいいから手塚に柱の歌を歌ってほしいんですよ、結局。

ラストシーンは檀くんのお芝居が好きです。あの必死さを千秋楽だけじゃなくて毎公演毎公演MAXの熱量で表現できる檀太一プロはすごい。どうせ明日には亜久津は舞台の上でテニスやってるのに。

最後の応援対決は何回観ても楽しいです。特に今回は個人的に大好きなラケット投げ→アクロが多いので見応えあるし赤澤部長のバク宙毎回かっこよくて楽しみ。

 

公演期間前半の感想を取り留めなくだーっと書くとこんな感じです。

福岡公演と東京凱旋も全力で楽しみます。キャストの皆さんも大千穐楽までずっと元気で舞台を楽しんでくださいっ!応援してます。

 

 

*1:この漫画は主人公のリョーマや青学が絶対負けないシステムなので「転」が存在していない

*2:やってることは女子新体操団体の手具交換に近いのだが、そういえばオリンピックとかの女子新体操中継も斜め上からの視点で撮ってるなーと思い出した