激ダサDANCEで凍らせて

ハロプロとテニミュとその他雑記。

物憂げな二階堂ふみが好き

2013年放送のテレビドラマ「Woman」で二階堂ふみに出会ってから、細く長く二階堂さんを推している。

テレビや映画に出演する女優さんは遠い世界の存在で、アイドルや若俳と違ってパーソナリティそのものを推したり成長を見守ったり会いに行ったりといった主体的熱意は持てず、ただ出演作をチェックするくらいしができない。なので推しているというよりファンをしているという表現が適切かもしれない。

私はテレビや映画を頻繁に観る方ではないので好きな芸能人という存在をあまり意識することがないのだが、二階堂さんの出演作だけは彼女が出演しているからという理由でほぼ無条件に観ている。

 

二階堂さんの何が好きかと言えばやっぱりあのアンニュイな雰囲気とぽろぽろ溢れるような喋り方である。そもそも彼女を好きになったきっかけが心を病みながらも美大を目指す浪人生の役だったので、今でもそういう不安定な役を演じる二階堂さんが好きだ。

私の好みの話だけでなく二階堂さんが実際に得意としているのも世間の二階堂さんに対するイメージも少し不健康な感じの役柄なので、彼女はいわゆるサブカル系雰囲気映画(ストーリーのわかりやすさで万人を楽しませようとしていない、サブカル的退廃性とミュージックビデオ的抽象性を持った作品を仮にこう呼ぶ)に出演することが多い。

 

二階堂さんの出演作は大体観ているはずだが、悲しいことにサブカル系雰囲気映画は高確率でストーリーが意味不明なので映画自体に感動することはあんまりない。

映画自体の良し悪しと言うより単に私が抽象的で破滅的で画面が暗い映画が好きじゃないという面も大きいのだが。

「王様とボク」とか二階堂さん(推し)と中河内さん(推し)が兄弟役っていう私得(死語)な映画だったのに最後まで何を言いたい作品なのかわからなかった。推しが出てるのにこんなにポカンって感じのまま終わることあるんだ…

「王様とボク」は飛行機の中で暇潰しに観たからまだ良かった。「人間失格 太宰治と3人の女たち」は映画館で観たのに死ぬほどつまんなくて、というかキャッチコピーが「死ぬほどの恋。ヤバすぎる実話。」な時点で面白いわけがないのに二階堂さんが演じる山崎富栄を見ないわけにはいかないと思って観に行ったら予想を超えてつまんなかった(二階堂さんや沢尻エリカの着物姿と演技はすごく良かったのでそこは救いだった)。

 

ちなみに二階堂さんが出演する映画でちゃんと起承転結があって一般ウケする作品は「翔んで埼玉」や「SCOOP!」くらいだと思うし私も映画として面白くて好きと言えるのはこの2作なのだが、二階堂さんの本領が発揮されているかと問われれば微妙である。

二階堂さんのアンニュイな演技が生きていて映画自体の完成度も高い作品として私は「リバーズ・エッジ」を推す。一般ウケはしないと思うが私は二階堂さんの出演作で一番好きだ。森川葵の狂気じみた演技もSUMIREや吉沢亮の諦念を感じさせる淡々とした演技もすごく良いし、雰囲気映画でありながら画面の暗さやゴチャついた描写で誤魔化さない静かで不穏な「雰囲気」がある映画だと思う。

基本的にサブカル系雰囲気映画は刺さる人にはすごく刺さるし刺さらない人には全く刺さらない。「リバーズ・エッジ」はたまたま個人的に刺さった。雰囲気映画は万人ウケを狙っていない以上結局好みの問題になるんだな。

 

昨日、上映最終日に滑り込みで二階堂ふみ主演最新作の「ばるぼら」を観てきた。

あらすじはひとことで言うと稲垣吾郎演じる小説家の美倉が二階堂さん演じるアル中の女・ばるぼらに狂わされていくという感じ。酒瓶を抱えて散らかった部屋や薄汚れた街に座り込む二階堂さんは退廃的でとても綺麗だった。

蜜のあわれ」、「人間失格 太宰治と3人の女たち」に続いて二階堂さんが小説家のミューズの役を演じるのは3回目ということに気づいたのだが、二階堂さんが演じる女性の奔放さと妖艶さは小説家にインスピレーションを与えるミューズというキャラクターにすごくハマる。

 

ばるぼら」も見るからにサブカル系雰囲気映画だしストーリーは面白くないんだろうなと思って観に行ったらまあ予想通りよく分からなかった。

だがこれまで7年ほど二階堂さんを推してきて、彼女のアンニュイで退廃的なお芝居を好きでいる限り酒タバコ薬セックス幻想にまみれたよくわからないストーリーを見続けるのは宿命として受け入れないといけないということを私は学んでいる。

なのでひとまずは映画の中の二階堂さんの立ち振る舞いを部分的に楽しめればいいかなと思って観ていた。

今回観た「ばるぼら」は裸のばるぼらと美倉がりんごを齧りながら絡み合うシーンがすごく綺麗で、かなり惹きこまれてしまった。艶かしいシーンではあるけどBGMのピアノ曲の存在感が強いおかげか俗っぽさが無く不思議な美しさがある。

全体のストーリーが眠くなっちゃう感じでもこういう綺麗なシーンに出会えれば映画館に行くのも良いなと思えた。