激ダサDANCEで凍らせて

ハロプロとテニミュとその他雑記。

世代交代の波に翻弄される懐古厨

この世のあらゆるご長寿ジャンルには、美化された思い出を懐かしみ新しいものを拒絶するモンスター、いわゆる懐古厨が必ず生息している。

オタクが推しに向ける気持ちは恋愛感情とさほど変わらない。推しへの熱量は出会った時を頂点として後は静かに引いていき、徐々に穏やかな愛に変わっていくものだ。

そうして少し離れた距離感で推しを見守るようになってからも沼にハマった直後の興奮はいつまでも心のどこかに残っていて、あの時は最高だったという懐古と共に延々とエモを燻らせ続けてしまう。

 

2018〜20年にかけてハロプロアイドルであるアンジュルムのメンバーが卒業と加入を繰り返した時、私はまさに懐古厨の症状に陥った。アンジュルムに初めて出会った時の感動を引きずり、変化し続けるグループを受け入れることができなくなった。

私の記憶の中にあるかっこよくて尖ったアンジュルムと出会った時の衝撃が、当時推していた福田花音ちゃんや室田瑞希ちゃんの卓越したパフォーマンスが、いつのまにか可愛くてポップなアンジュルムの印象に塗り替えられているような気がしたのだ。

 

メンバーの卒業と加入によって形を変えながら続いていくコンテンツを追いかけていて、卒業するメンバーが新メンバーより輝いて見えるのは当たり前だ。メンバーはいつか必ず短い青春の全てを掛けて積み重ねてきたものを卒業という形で清算して去っていき、代わりに歌やダンスのスキルも芸能人としての自覚もこれから育っていく真っさらな新人が入って来るのだから。

はじめに書いたオタ活の熱は最初がピーク理論と同時に、こうした卒業システムも懐古厨の病を悪化させている。

頭ではわかっていても懐古厨は治らない。

Twitterなんかで新メンバーを素直に歓迎するおたくを目にすると、未熟な我が子を見守る母性のようなものを感じて、なんて寛容な大人なんだろうと思う。

私にはそうした母性のかけらもない。むしろ私は卵から孵って最初に見たものを親と思い込む雛であり、沼に落ちた時のメンバーが至高だと思い込み続けるおたくだった。

 

前の記事で「次世代への継承は希望」みたいなことを言っておいてとんでもない手の平返しをしてしまったが、実のところ、そういえば私は世代交代を受け入れられない系懐古厨だったな、と心の片隅でモヤモヤしながらあれを書いていた。

gekidasadance.hatenablog.com

 

もちろんコンテンツが長く続いてくれるのは嬉しい。歴史を継承してくれる新人は紛れもない希望だ。でも推しには永遠の命を手に入れて欲しいに決まってる。推しは代替不可能だから推しなのだ。

 

話が脱線してしまったのでアンジュルムの話に戻す。

私は変わりゆくアンジュルムに散々文句を垂れていた。しかし今こうして元気におたくをしている。

戦闘力が弱まったアンジュルムが好きじゃないと言いつつもなんだかんだアンジュルムは私の脳に染み付いていて、結局嫌いになることはなかったのだ。今やかわいい新メンバーにもキャッチーな新曲にもばっちりハマっている。

 

たとえ熱が冷めても、おたくの心の支えは推し以外にない。私にとってのハロプロはいつしか静かな生活の一部になっていた。

もう向き合うべき生活を犠牲にして遠征に行きまくったり同じセットリストのライブを何回も観にいったりはしないけど、毎日イヤホンでハロプロの曲を聴いて毎日メンバーのインスタにいいねしている。

ハロプロには老舗ジャンルを好きでいる醍醐味というか、好きなものをゆるく長く推していけるという安心感を与えてもらっている気がするし、結局私はアンジュルムのことが死ぬまで好きなのだと思う。

 

テニミュを好きになったばかりでコンテンツへの熱を持て余し、新テニミュから現場デビューできる予定の自分へ自戒を込めてこれを書いている。

ちょうどTSCのチケット先行受付があり、私は関西在住にもかかわらず大阪公演に加えて東京凱旋公演のチケットも数枚申し込んだ。冷静に考えて新テニミュのチケットは結構いいお値段だし行きたい現場は他にもある。しかし申し込みフォームにウキウキで席種と枚数を打ち込む私にもはや理性は残っていなかった。しっかりめに高熱が出ている。

 

高熱を出しながらも、懐古厨という持病を抱えた私はこれからテニミュをリアルタイムで追いかけて何のモヤりもなく大好きになれるのかな、みたいな不安をぼんやりと感じている。テニミュとの初めての出会いである3rd立海や初めてDVDを買った2nd氷帝を生で観れなかった後悔はどうやっても拭い切れない気がするのだ。

 

一方で未知のテニミュに対しての期待も無限に膨らんでいく。

DVDを幾度となく再生した過去の公演を劇場で観ることが絶対に叶わない悲しさより時間を巻き戻せない絶望より、これからテニミュ現場に行けるという事実がとにかく嬉しい。最早テニミュがこの世界に存在しているだけで嬉しい。

過去を神聖視し、後ろ向きな気持ちを抱えてヲタ活をする虚しさと馬鹿馬鹿しさは既に理解したつもりだ。新テニミュや4thシーズンをリアルタイムで追いかける中で好きなキャストさんや好きな新曲をたくさん見つけ、健康なおたくを目指したい。

いや、懐古厨は病気だしおたくも病気だけどどうせなら幸せな病人でいたいよ。

 

そしていつか浮かれた気持ちと熱が冷める日が来ても、テニミュを静かな生活の一部として大切にできる立派なテニモンになりたい。なります。